産業車両製造業のCN行動計画2030年度目標

    産業車両製造業のカーボンニュートラル行動計画
      ―2030年度目標見直しと2050年度ビジョンの策定について―


                          一般社団法人日本産業車両協会

                                 2023年3月17日

 

 【産業車両製造業のカーボンニュートラル行動計画2030年度目標の
 見直し】

〇新たな目標
 製造過程で発生する2030年度のCO2排出量について、政府の目標
 2013年度比38%削減と同等レベルの削減を実現できるよう努める。
  (努力目標)

  ※従来の目標からの変更点
   1)基準年度をこれまでの2005年度から、政府目標に合わせて2013年度に
    変更した。
    2)電気の使用に伴うCO2排出係数を、これまで2013年度調整後係数を固定と
    していたことから、各年度の調整後係数を用いること及び電気事業低炭素社会
    協議会が2022年6月に改定した「カーボンニュートラル行動計画」において目
    指すとした、政府が示す野心的な「2030年度におけるエネルギー需給の見通
    し」に基づく国全体の排出係数を前提とすることに変更した。

【産業車両製造業のカーボンニュートラル行動計画2050年ビジョンの
 策定】

 日本の2050年カーボンニュートラル実現という野心的な目標の達成に
 寄与するため最大限の努力を行う。


 

1.日本産業車両協会は、2002年1月に、環境自主行動計画(地球温暖化対策編)を策定し 

て、産業車両の主力機種、フォークリフトの製造事業者の、2010年度の製造過程からのCO2排出量を、1990年度比で10%削減するとの目標を策定し、実績値(2008~2012年度平均値)としては23%削減と目標を大幅に上回る削減を達成しました。

2.その後、現在推進中のカーボンニュートラル行動計画においても、同じくフォークリフト製造事業者の2020年度のCO2排出量を、2005年度比37.5%削減との目標を定め、実績値としても46.6%削減を達成しました。

3.また国内でのフォークリフト販売台数に占める電気車の割合は、1990年度の29.2%から2021年度には63.4%と、約30年間で34.2%も向上させ、フォークリフトを使用する幅広い業種における燃料転換によるCO2排出削減に貢献すると共に、2016年度には水素を燃料とする燃料電池フォークリフトも市場投入され、政府の「水素・燃料電池戦略ロードマップ」のアクションプランの対象にも採用されました。

4.こうしたこれまでの枠組みに基づく取り組み実績に基づき、日本産業車両協会はこのほど新たな目標として、従来目標におけるCO2排出削減量を大幅に見直し、「政府の目標(産業部門)38%削減と同等レベルの削減を実現できるよう努める。」との努力目標を定めました。なお、今回の新たな2030年度のCO2排出目標量は、基準年度や採用する排出係数を変更したこともあり、削減率という点では低くなりましたが、従来目標における排出量より約60%少ない数字を目指します。

5.さらに、新たに2050年ビジョンとして、日本の2050年カーボンニュートラル実現という野心的な目標の達成に寄与するため最大限の努力を行うことといたしました。

6.なお、新たな2030年度目標及び2050年ビジョンでは、製造過程での排出量、すなわちScope1及びScope2を対象としておりますが、引続きScope3におけるCO2排出量削減に取り組んでまいります。そのためには、製品のいっそうの電気化の推進や、燃料電池や合成燃料の利用拡大が必要ですが、そのためには蓄電池や燃料電池、合成燃料等に関するインフラを含めた開発・供給が円滑に進展し、かつ販売価格が既存車と大きく乖離しないよう、政府の施策による支援をいただけるよう期待いたします。

7.日本政府の2050年カーボンニュートラル実現という目標は、きわめて野心的で、その達成は容易ではありませんが、産業車両製造業では、フォークリフトの製造事業者による「製造工程の効率化による省エネ及び省エネ型機械・設備等への更新」、「再生可能エネルギーや炭素排出の少ない電力の購入」、「新エネルギーの活用」、「その他今後実現が予想される脱炭素技術(CO2の回収・貯留・利用等)の活用」を進めて、この政府目標の実現に向け、精一杯の努力を行ってまいりますので、ぜひご期待いただくと共に、ご支援ご協力をお願いいたします。


◎2030年度新目標及び2050年ビジョンは以下を前提として策定しておりますので、エネルギー・環境政策や技術開発の国内外の動向、事業環境の変化等を見きわめながら、将来必要に応じて見直しを行ってまいります。

〔生産量について〕2030年度の国内フォークリフト生産台数を12.6万台(2013年度比14.3%増)としております。

〔製造工程の効率化について〕エネルギー効率の高い生産機械等の採用・更新に当たっては、経済的に利用可能な最良の技術(BAT)を活用することとしております。

〔製造工程で使用するエネルギーについて〕2021年度実績で、工場で使用するエネルギーのうち、原油換算エネルギー量では約7割が電力となっておりますが、今後は再生可能エネルギーの導入割合を高めると共に、政府が示す野心的な「2030年度におけるエネルギー需給見通し」に基づいて、国全体の電気の使用に伴うCO2排出係数の改善が達成され、かつ安定的に供給されるものとしております。

                                      以上